現在、「コーチング」は、スポーツに限らず、教育やビジネスなど、多くの分野で活用されています。
それに伴って、コーチングについての本や、コーチングのトレーニング法など多くの情報が存在しています。
この記事では、コーチングの意味、コーチングの基本をご紹介していきます。
これから、コーチングスキルが必要になる立場になる人に学びのきっかけになってもらえたらと思います。
コーチングとは?
コーチングとは、個人として、チームとして、理想の状態に到達することをより早く、より効果的に実現するための人材開発技術と定義付けられています。
今では、スポーツに限らず、いろいろな分野で活用され、特に現在ビジネスシーンでも多くの企業が取り入れるなど、注目を集めています。
コーチングに似た言葉に、ティーチングがありますが、実は、指導する対象との関わり方に
大きな違いがあります。
コーチングは、コーチングする相手が持っているものを引き出して、理想に近づけるというアプローチの方法をとります。
コーチが相手に質問をして、相手に話をしてもらうことが進め方の基本となります。
一方、ティーチングは、コーチングの特徴と逆のアプローチです。
ティーチャーの持つ知識や経験、知恵を相手に提供して、理想に近づけるというアプローチです。
ですので、コーチングとは逆に、ティーチャーが話す割合が必然的に多くなるのが基本です。
日本の学校教育では、ティーチングがメインのやり方で、供しが一方的に情報を発信することで、子供たちに成長してもらうという形式を取っています。
最近注目されている、ビジネスシーンでのコーチングの活用方法ですが、マネジメント手法として、上司と部下がマンツーマンで面談をする際に、コーチングのスキルを使っています。
また、社員の教育では、コーチングを取り入れることで、問題解決力や考える力を鍛えることができます。
先程お伝えした、日本の学校教育では、自分で考え、問題を解決する勉強はあまりしません。
しかし、社会人になると、問題解決力が求められる機会が多いため、コーチングのスキルは大変役に立ちます。
そういう意味では、早い段階でコーチングのスキルを身につけることができれば、個人のスキルとしても、またチームとしても活躍できる場が広がることになるでしょう。
コーチングの基本
コーチングは、相手がもっているものを「引き出す」ということが最も大切であるとお伝えしました。
それでは、具体的にどのようなことをポイントに行うといいのでしょうか。
3つの重要なポイントがありますので、それぞれ解説していきます。
双方向的であること
コーチングは、どちらかが一方的に情報を発信するのではなく双方のコミュニケーションによって成立していきます。
実際に、上司が部下、コーチと選手が話をする場合、上司やコーチが話して、それを聞いた部下や選手が言われた通りにする、ということが多くあります。
この、一方通行のコミュニケーションでは、コーチングとは言えません。
目の前の出来事に、どう状況判断して、自発的に行動するべきか、一方通行の指示を与えるだけでなく、相手に考えさせ、意見を言わせる、双方向的なアプローチが不可欠となります。
このようなアプローチは、一見すると時間や手間がかかるように思われると思います。
しかし、それによって、自発的に行動ができるようになったり、新しいアイデアを生み出せるようになったりすれば、指示を出さなくても動くようになるので、トータルでは、上司やコーチの時間の節減にもつながっていきます。
上司やコーチは、ある程度長期的な観点で育成する心構えが必要と言えます。
現在進行形であること
コーチングは、一度受けたからといって、すぐにパフォーマンスが向上するわけではありません。
継続して働きかけていくことで、パフォーマンスは向上していきます。
ですので、重要なのは、コーチングを受けたあと、職場や活動現場に戻って実践すること、そしてその後、もう一度コーチングを受け、実践する、という繰り返しです。
常に、実践してフィードバックするという、現在進行形的な関わりによって、着実に変化をしていきます。
個別に対応すること
学校教育ではそうですが、生徒全員にとって、同じアプローチをとっていくことは、コーチングとは言えません。
人の価値観、考え方、行動パターン、受け止め方など、情報処理の方法が多様化しているいま、全員に同じ方法で教えても、必ずしも、同じ効果が得られることはほとんどありません。
コーチングは、基本的に1対1で行います。
個人差を無視して、一つのやり方を押し通したり、同じ言葉をかけたところで、当然相手によって、受けとけかたは異なりますので、それぞれに合ったアプローチの仕方が不可欠です。
コーチングに必要なスキル
実は、コーチングに必要なスキルは、100以上あると言われています。
しかし、コーチングが相手の力を引き出すことを目的としているので、コーチングスキルというのは、次の3つを意識して適応されています。
それは、相手の自立性を促し、相手の力を発揮させ、相手の成長を促進することです。
私たちが普段何気なく行っているコミュニケーションも、この3つの視点で見直すと、チームにしても、個人にしても、上手くその力を活かせるマネジメントスキルに進化させることができます。
それを踏まえたうえで、代表的ないくつかのスキルをご紹介します。
信頼関係を築くためのスキル
コーチが相手に行動を促すときに、お互いの信頼関係がないと、コーチングの効果は半減します。
ですので、まずコーチは相手の信頼を獲得するために、いくつかのスキルを用いて、信頼関係の構築に努めます。
代表的なものが、「ペーシング」と「傾聴」です。
ペーシングとは、簡単に言うと相手合わせるということです。
例えば、「最近疲れている」と相手が言ったとき、「そんなこと言わずに、頑張れ」「休暇を利用して、リフレッシュして」と解決策を提示するより、まずは、「そうか、疲れているんだね」と同調すると、相手は安心感を抱きやすいです。
具体的には、
・相手が使った言葉を使う
・相手の言葉を繰り返す
・うなずきや相づちを挟む
・視点を合わせて話す
などがあります。
また、「傾聴」は、相手の話の聴き方の工夫です。途中で口を挟んだりせず、まずは真剣に聴いてあげることです。
無意識に相手の話を聞いていると、次のような態度をとりがちですので、注意が必要です。
・相手が話している時に、自分が話すことを考えている
・相手の話に対する回答や、提案を考えている
・結論を急ぎ、話の展開や先読みをする
・沈黙を待てずに、相手をせかす
人は、話を聞いてないなと感じると、不安になり、行動が止まりがちです。
逆に、話を聞いてもらっているという安心感は、自由な発想や、自発的な行動につながります。
また、誰かに話をしているうちに、話し始めには思いもつかなかった解決策やアイデアが自分の中で浮かんだりすることさえあります。
このような相手への安心感は、お互いの信頼関係を深めるだけでなく、相手の力を引き出すことにもつながります。
行動を促すスキル
コーチングする際に、相手に質問をするということは、いくつかの効果があり、質問の目的を意識して行うことがとても重要と言われます。
質問の目的次第では、以下のように相手の行動を変えることができます。
視点を変える質問
「あなたが相手だとどう感じますか?」
選択肢を広げる質問
「他にどんな対策が取れますか?」
気づきを促す質問
「今回の失敗をどう次に生かしますか?」
また、「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の二つも使い分けるといいでしょう。
クローズドクエスチョンは、答えをYESかNOで要求する質問です。
これは、相手の答えを早く出せたり、事実を明確にするというメリットもありますが、思考に広がりがなく、相手が責められていると感じる場合もあります
オープンクエスチョンは、先程例を挙げたように、自由に答えられる質問です。
相手に考えさせたり、気づきを促進するなどのメリットもありますが、答えが出せるまで時間がかかる場合もあります。
成長を促すスキル
最後に、相手の成長を促すスキルを紹介します。
それは、アクノレッジメントといい、「相手を承認する」ことをいいます。
相手に現れている変化や違い、成長や成果に気づいたら、それを言葉にして相手にはっきり伝えることをいいます。
このアクノレッジメントを通して自分が成長していると認識することは、次の行動やチャレンジをするモチベーションとなります。
このアクノレッジメントは、褒めたりする賞賛とは少しちがいます。
褒めることも、モチベーションを高める効果がありますが、相手への評価が入るので、人によって受け取り方が違うので、効果がない場合もありえます。
具体的に、「話し方がわかりやすくなって、前よりいいね」をアクノレッジメントに変えると、「結論から話すようになったね」となります。
一番効果があるアクノレッジメントは、相手が自分自身でさえ気づいてないことを先に察知して伝えることです。
自分のことをしっかりと見てくれていることが相手にも伝わり、信頼関係も深まっていきます。
この信頼関係を深めることが、結果として、行動やチャレンジへの原動力となり、成長を促進させます。
まとめ
コーチングについて、基本的な内容と、必要なスキルをご紹介しました。
このコーチングのスキルは、一旦習得すれば終わりというものではなく、コーチをする自分自身も成長していく必要があります。
そしてなにより大切なことは、目の前の相手に興味を持ち、「この人の成長に何ができるか」という視点を忘れないということです。
どの分野においても、このコーチングのスキルは役に立ちますので、ぜひとのこの機会に学びを深めてもらえたら嬉しいです。
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