「株式投資で100万円が3億円に!」
このような見出しで、株式投資のやり方を教える情報商材や、セミナーなどを見かけるようになりました。
そもそも正しい投資とは、短い期間で売り買いするという、いわば投機性の強いやり方ではありません。
子供の成長を長い視点で見守るように、お金を育て、増やすためには、ある程度の時間は必要です。
投資のスタンスは長期投資です。
しかし、その長い投資期間において、自分の資産が下がることも大いにありえます。
そんな時に損をしてしまう原因は、あなたの「感情」です。
その「感情」をどうコントロールすべきか、その考え方をお伝えしていきます。
株価が下がる理由
そもそも株価が下がるのはどういうときでしょうか?
2008年9月15日、アメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻しました。負債総額約6000億ドル、日本円にして約64兆円に達しました。
これを機に世界中に金融危機が拡大し、投資家たちが相次いで資産を投げ売り、その結果様々な資産価値が下落しました。
「リーマン・ショック」と呼ばれるこの出来事でも世界中の株価は暴落し、日経平均株価も1万2,000円台から、6900円台まで大暴落しました。
このように、株価の暴落は、株式の売り注文の急激な増加によって起きます。
先ほどの「リーマン・ショック」では、大手金融機関の破綻を受けて、投資家たちの信用不安を招いた結果、株価の大暴落が起きたのです。
簡単に言うと、株の人気が下がれば、株価も下がるという仕組みです。
逆に、買い手が増えれば、それだけ人気が高まっていることなので、株価は上昇します。
これを考えると、株価の暴落の原因は多く分けて4つです。
1つは、「世界経済への不安」です。
その不安感が、世界経済の見通しを暗くすることで、それに警戒した投資家が資産を株式から、他の資産へ移すというパターンです。
「リーマン・ショック」や「コロナショック」がこれにあたります。
2つ目は、「個別企業に起因する出来事」です。
世界には影響力の大きい企業があります。
それら影響力の強い巨大企業の不祥事などは、それらの個別株が売られる原因になり、株価に深刻な影響を与えてしまいます。
3つ目は、「為替レートの変動」です。
特に、輸出・輸入にかかわる事業を行っている企業では、為替レートの変動が、株価に影響を与えることが大いにあります。
輸出企業にとっては、円安は株価上昇の原因に、輸入企業にとっては下落の原因になります。
逆に円高は、輸出企業にとって株価下落の原因に、輸入企業には株価上昇の原因になります。
4つ目は、「自然災害や戦争」です。
予期せぬ事態は、投資家たちも不安に陥り、自分の資産をより安全な所へ動かそうとします。
自然災害や戦争が起こると、経済活動は停止するため、株価の暴落が起きることもあります。
このように、株価は一定ではありません。
特に株価が下がったときに、私たちがとる行動について、あたらめて確認しておく必要があります。
株価が下がったときの対処法その1
株価が暴落した際、まず私たちがとるべき行動は、「冷静になること」です。
多くの投資家もそうだと思いますが、大きく下落した評価額を見ると動揺し、不安になると思います。
多くの人は、パニックに陥ってしまい、その勢いで株を売買し損失を確定してします。
株価は一時期的に大きく下がることがあっても、長期的にみると、サインカーブを描くように、「下がっては上がり、上がっては下がり」という変動をするのが一般的です。
暴落の要因が上昇トレンドの中での調整なのか、長期にわたって続く可能性があるのか、見極めるためにも冷静になることが大切です。
株価が下がったときの対処法その2
株価が下がったとき、もう一つ私たちがとるべき行動に、「押し目買い」かどうかの見極めを行うということがあります。
「押し目買い」とは、株価が下落したタイミングを見計らって、で買い付けるという手法です。
この「押し目買い」のチャンスを、見極めることができれば、株価の下落をチャンスとしてとらえることができます。
この「押し目」=「株価が下がったタイミング」を見極めることは簡単ではありません。
それは、「押し目」と思っても、そのまま株価が上がらないというケースもあるからです。
そのためには、チャート分析を行ったり、下げ止まりを確認してから購入したりと、様々な投資手法があるようですが、はっきり言って「確実」な方法はありません。
相場の動向を観察しながら、小分けにして購入するという方法が、無難なのかもしれません。
と、このように言うと、とても不親切に思われそうですので、最後に、暴落の時にでもメリットのある投資方法について、お伝えしていこうと思います。
投資するにあたって大切なこと
投資をする人すべてに当てはまることですが、余裕資産のすべてを投資に回すのは、あまりお勧めすることではありません。
自分のなかでリスクを許容できる範囲で、投資を行うことがとても大切です。
そして何より、投資するにあたって大切なことは、長く続けることです。
株価が下落したからと言って、すべてを売って投資をやめるのではなく、それでも淡々と続けることです。
そのためにも、時間を分散して投資していくことが大切です。
つまり、毎月、毎年、定期的に投資していくというスタンスです。
大きく利益を上げるためには、株価が下がったときに買うことが一番良いですが、株価の上がり下がりに左右されることなく、淡々と投資するということが、何より投資を続けるために大切な心構えだと思います。
長く続けること、これが誰にでもできる、資産を増やす方法なのではと思います。
まとめ
投資の神様と呼ばれる、ウォーレン・バフェット氏の名言に、
「10年待てないなら株を買ってはいけない」
というものがあります。
それだけ、日々の株価の変動は関係ないということでしょうが、「投資は長期」ということの証明だとも言えます。
しかし、「儲けたい」という私たち人間の欲のために、損してしまう人が多いことも事実です。
なんのために投資をするのか?その目的は何か?
投資をする前に、このようなことを考えることも、投資をするための心構えとして、大切なのかもしれません。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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