私たちは気づかないところで、いくつかの心理テクニックによって、物を買ったり、行動したりしています。
そのテクニックの一つに、返報性の法則があります。
ビジネスや恋愛において、労力を割いて行動したのに、期待以上の成果や結果が出ないことはよくあることでしょう。
しかし、この返報性の法則をうまく活用できれば、少ない労力で多くの成果を上げることが可能になります。
私たちの日常の、どんな場面で、この心理テクニックが活用されているのか、まずはそれを知り、自分のビジネスや恋愛に応用できれば、きっとよりよい人生を送ることが出来ると思います。
ぜひ、この記事を読んで返報性の法則をマスターしましょう。
返報の法則とは?
一般的に、返報の法則というと、「なにか相手に施しを受けた場合、それを何らかの形で返そうという心理」と言えます。
この人間の本能とも言える法則は、私たちの日常のいろいろなところで活用されています。
わかりやすい例は、スーパーなどの試食コーナーです。
無料の試食を食べてしまうと、なぜか「その商品を購入しないといけない気分」になったことはないでしょうか。
これは返報性の法則をビジネスに応用した場面といえますが、この返報性の法則には、いろいろな種類があります。
このような人の心理を知ることは、日常生活でうまくコミュニケーションをとるには、知っておいた方がいい法則です。
この返報性の法則の意味を理解し、日常のさまざまなシーンで利用できるように、原理や具体例を知っておきましょう。
好意の返報性
返報性の法則の中に、好意の返報性があります。
これは、「好意には好意で返したくなる心理」というものです。
よく言われる例としては、バレンタインデーやホワイトデーでの、イベントが挙げられます。
バレンタインデーに、義理チョコをあげるのは、「いつもお世話になっているから」という気持ちからですし、ホワイトデーにお返しをするのは、「チョコレートをもらったからお返し」という心理が働くからこそ、成り立つものだと言えます。
このような、好意の返報性は、日常の色々なところに隠れているので、意識してみてみるとわかるでしょう。
譲歩の返報性
返報性の法則の中には、相手に譲歩する、譲歩の返報性(ドア・イン・ザ・フェイス)といいます。
これは、自分が最初に譲歩することで、相手に悪いと思わせておいて、その後、こちらの条件を受けてもらいやすくするものです。
例えば、女生徒食事に行きたいとします。
普通に言えば、断られる可能性がある相手の時、最初に「休日にデートでもしませんか?」と誘います。
食事ですら、断られる可能性がある感じの場合、当然ながら普通に断れます。
そこで、「空いてる時でいいので、食事だけでもどうですか?」といいます。
すると相手の心理に、「デートは断ったけど、食事くらいならいいか」という心理が生まれ、提案を受けてくれやすくなります。
このような方法を使えば、絶対に成功するとは言えませんが、可能性が多少なりとも上がるでしょう。
自己開示の返報性
自己開示の返報性とは、「自己開示をされると、同じレベルの自己開示をしてしまう」というものです。
自分についてさらけ出して話をすることで、相手も同様に自分のことを話さないと、悪いと思う心理をいいます。
例えば、「野球観戦をするのが好きなんだよね」と自己開示すれば、相手も、「サッカー観戦をするのが好きなんだ」と返してくれます。
このように、自分が開示したものと同じレベルの開示を得ることができます。
一貫性の原理との違い
返報性の法則と似たような心理法則に、「一貫性の法則」というものがあります。
これは、「一度決心した行動や発言、信念を貫き通したい」という心理をいいます。
先程ご紹介した、ドア・イン・ザ・フェイスと逆の方法で、フット・イン・ザ・ドアと言われます。
まず最初に、小さな要求を受け入れてもらいます。その後、どんどん要求を大きくしていき、最終的に、受け入れて欲しい要求を相手に受け入れさせてしまいます。
これも、ビジネスなどで多く使われますが、返報性の法則とは違うものですが、知っておくといいでしょう。
返報性の法則とビジネス
返報性の法則は、先程ご紹介したとおり、好意の返報性や、自己開示の返報性、譲歩の返報性と、いくつかの種類があり、それぞれに色々なビジネスシーンで活用をされています。
好意の返報性の活用
好意の返報性は、相手から好意を受け取ったら、好意でお返しをしないといけないと思ってしまう心理です。
このことを紹介する良い例は、バレンタインデーの話です。
このことをビジネスで活用するには、ひとつポイントがあります。
それは、周りのビジネスパートナーやお客様に対して、「自分は何を与えることが出来るか?」をしっかり考えるということです。
そして、与えられることがあれば、実際に与えることを忘れないようにすることがとても大切です。
ちなみに、与えるものについては、モノである必要はありません。
情報や信頼もそのひとつですので、積極的に与えるようにしたいものです。
自己開示の返報性の活用
自己開示の返報性とは、こちらが先に情報を開示すれば、相手も、同等の情報を開示してくれやすくなる、という心理です。
ビジネスシーンでよくあるのは、お客様が営業マンをすぐには信用せずに、なかなか自己開示しないという場面です。
そのようなお客様に対して、一方的に、質問攻めをしてしまう営業マンがいます。
「出身はどちらですか?」「趣味はなんですか?」「休日は何をしていますか?」という、一見、信頼関係を気づけそうな質問も、逆に信頼を落としてしまうという結果になりかねません。
そのような時に、自己開示の返報性とても活用できます。
相手に質問をする前に、こちらから先に自己開示をすると、相手へのイメージが180度変わります。
先ほどの質問で言うと、「出身はどちらですか?」と聞く前に、「私の出身は長崎なのですが、〇〇さんはどちらの出身ですか?」というような質問の仕方です。
このように、自己開示をしたあとで質問をする、という順番にすることで、「彼も情報を明かしてくれたから、私も情報を明かさないと」と、無意識で自己開示してくれます。
譲歩の返報性の活用
譲歩の返報性は、自分が最初に譲歩することで、相手に悪いと思わせておいて、その後、こちらの条件を受けてもらいやすくするものです。
ドア・イン・ザ・フェイスと言われますが、多くのビジネスシーンで活用されます。
例えば、50万円の商品を売りたいとした時に、まず最初に、グレードが高い100万円の商品を勧めます。
これを気に入ってくれて本当に100万円の商品を買ってもらえたら、ラッキーです。
しかし、断られても全く問題ありません。
本当は50万円の商品を買ってもらいたいので、その承諾を得るために、100万円の商品をフェイクに使うといった活用の仕方をします。
相手が、初めの要求を断ったことに対する罪悪感を上手に活用し、次の要求に応えてくれる確立を上げるのです。
ただ、この譲歩の返報性は、何度も使ってしまうと、人間としてかなり疑われてしまうことが多くあるので、一人に対して多く使わないことをお勧めします。
返報性の法則と恋愛
返報性の法則は、ビジネスシーンだけでなく、恋愛の際にも、効果的な心理テクニックとして活用できます。
特に、先程紹介した好意の返報性は、恋愛に応用できるテクニックです。
どのような場合に有効なのか、また、有効でない場合はどのような時か詳しく解説していきます。
好意の返報性が成り立つ場合
好意を寄せている相手に、この好意の返報性が効果を発揮するのは、まず、嫌われていないことが大前提となります。
好意を持たれている必要はありませんが、相手にとって、プラスもマイナスもない程度に、嫌われていなければ問題ありません。
また、相手の気持ちに余裕があることがとても大切です。
異性から好意を受け取るには、相手が気持ち的に余裕がないと、難しいです。
一番は、恋愛モードに入っている時がいいですが、仕事が忙しくてそれどころじゃない場合や、趣味に没頭していて、恋愛には興味がないという場合には、その効果は発揮されません。
相手の気持ちがどのような状態か、見極めることが大切です。
同時に、対等であるということが大切です。
相手になにかしてあげることが、「なんでもしてくれる、なんでも屋さん」になってはいけません。
自分と相手が対等な関係であるというお互いの認識のもとで、始めて、好意の返報性は成り立ちます。
好意の返報性が成り立たない場合
好意の返報性が成り立たない場合というのは、先ほどの逆になりますが、なにより、「生理的に受け付けない」と思われている人には、好意の返報性の効果は発揮されません。
生理的に受け付けないと思われないためには、なんといっても、第一印象が重要となります。
まずは身だしなみや話し方には、十分に気を遣い、相手に不快感を与えないようにしましょう。
これは、ちょっとした意識で出来ることですので、どうせ自分は見た目が悪いからと、あきらめる必要はありません。
また、仕事や家庭で、大きなトラブルを抱えているときは、この法則は成り立ちにくいです。
当然ですが、気持ちに余裕がないと、恋愛どころではありません。
トラブルが片付き、相手の気持ちに余裕が出来るまで、待つという自分の気持ちの余裕も必要です。
まとめ
返報性の法則について、その種類や、ビジネス、恋愛での活用法をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?
この返報性の法則とは、人間の本能とでも言うべき心理です。
ですので、行き過ぎた活用をすると倫理的に問題が生じることを肝に銘じなければいけません。
プレゼントしたんだからと、お返しを要求するとなると、もうそれは脅迫となります。
返報性の法則をいろいろなシーンで活用するのは自由ですが、最低限の節度を持つことが必要です。
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