投資に参加した人の7割が、損をしているというデータが、金融庁の調査で分かっています。
どうしてこうのようなことが起こるのか?
投資を既にしている人は、経験済みかもしれませんが、自分が投じたお金が、増えたり、減ったりするすること、冷静さを失うことがあります。
結果、損を招くような行動をとってしまうのです。
損失が出ている状況であれば、早くそこから抜け出したいと考えるでしょうし、少しでも元を取れれば、すぐに売って次のものを買おうとします。
資産運用は長期的な視点が必要です。
短期的に、上がったり下がったりする価格の変化で、私たちの感情が揺さぶられるときに、隣にいて、現状をしっかりと冷静に確認できる存在がいれば、損を招くような行動は、取らなくて済むこともあり得るでしょう。
資産運用を成功させるために、どのようなことを意識したらいいのか、これまでの学びと一緒に考えていきましょう。
マゼランファンドとは
みなさまは、ピーター・リンチという投資家をご存じでしょうか?
1970年代、フィデリティインベストメントのファンドマネージャーとして活躍し、その後も、多くの書籍や論文などで多くの名言を残しています。
このピーター・リンチが、1977年に、「マゼランファンド」のファンドマネージャーに任命されました。
当時の預かり残高が、1800万ドルというこのファンドを、ファンドマネージャーを辞任する、1990年までの13年間で、140億ドルを超えるファンドへと成長させました。
1977年から1990年まで、「マゼランファンド」は、年平均リターン29.2%を記録したことは、伝説ともいわれています。
1970年代後半から80年代にかけて、株式市場に投資したアメリカ人の多くは、この「マゼランファンド」に多くのお金を投じたでしょう。
この伝説のファンドである、「マゼランファンド」ですが、一見多くの方がこのファンドで、資産運用に成功したように見えますが、実際はそうなりませんでした。
約7割の人が損をしたといわれています。
どうして、このように良いファンドがあるにも関わらず、損をしてしまうのか、その理由も含めて解説していきましょう。
投資で損する理由
結論からお伝えすると、「マゼランファンド」を13年間ずっと保有し続けていた人は、驚異的な成果を得ることができました。
しかし、多くの人たちは、価格の上昇局面でまとめて買い、その後の下落局面で、慌てて売却をして損をしたといわれています。
要は、13年間ずっと保有し続けた人が、ほとんどいなかったということです。
この「マゼランファンド」の事例は、これから資産運用を成功させたい私たちに多くのヒントを与えてくれています。
資産運用をするにあたって、一番の敵は「感情」だといわれます。
「マゼランファンド」の事例でいうと、ファンドの価格が上がってきた局面で、多くの人が買いに走ったときに、自分も出遅れまいと買いに走る勘定。
逆に、ファンドの価格が下がってきた局面で、損をしまいと、早々と損切りしてしまう感情。
もっと言うと、株式市場の値動きは、短期的な視点で見ると、合理的な動き方はしない傾向があります。
会社の利益が上がり続けているからと言って、直線的に株価は上がっていかないということです。
未来に向けて利益を出す会社の株価は、長期的には上がりますが、その途中では常に上がり下がりしています。
この上がったり、下がったりする局面において、私たちの感情が邪魔して、冷静な判断を鈍らせてしまいます。
人間は感情の生き物ですから、その感情に振り回されることは、日常的にあります。
しかし、この資産運用においては、この感情にできるだけ振り回されないようにすることが、資産運用を成功させるヒントでもあります。
誰もが言う、資産運用のルールも存在します。
そのルールを再確認して、ではどうしたら感情に振り回されずに、投資行動ができるのかを考えていきましょう。
投資のルール
資産運用のルールは、いろいろな本でも紹介されている通り、基本的には、
「長期的な視点ですること」
「分散させること」
と言われていることが多いです。
お金はすぐには増えていかないというのが、資産運用するための基本的な考えで、きっと資産運用を始めようとしている人も、最初はそのようなことを理解して、スタートしているでしょう。
投資するタイミングについても、一括購入のタイミングを考えるよりも、時間を分散させて、定期的に購入していくという考えの方が、正しい行動だと言えるでしょう。
しかし、資産運用を始める人は、これらのことは、頭の中では理解していることだと思います。
ですが、「マゼランファンド」のような失敗をしてしまうのです。
「マゼランファンド」で損をした人のほとんどが、自分の感情に逆らえずに、正しい行動をできなくなった結果だと考えられます。
知識としては、資産運用のルールを分かっていたとしても、その時その時の判断を、自分自身でしてしまうことにより、損をしてしまうのです。
このことから、私たちが正しい投資行動を続けるために、資産運用のルールと合わせて、もう一つ持つべきルールがあるといえます。
それは、自分以外に意見を聞く人間を持つということです。
いわゆる自分の資産運用における、担当者、セカンドオピニオンを付けるということです。
自分一人の感情が動いたときに、冷静に判断できる相談者がいれば、その人に相談することで、本来の自分を取り戻せるのではないでしょうか?
そうすることで、感情に振り回されることなく、正しい行動をとり続けることが可能になります。
私たち人間は、感情で動く生き物です。
感情がないと人間生活は成り立ちませんが、資産運用においては、この感情はない方が賢明でしょう。
淡々と、自分のルールに従って行動できるように、信頼できる担当者を持つことも、自分のルールに入れることを、考えたほうがいいでしょう。
まとめ
自分の資産運用において、信頼できるアドバイザーを隣においておくこと、このことが、資産運用で成功できるかどうか、大きなポイントだといえます。
自分の投資目的は何か、資産運用におけるゴールを設定し、それを共有できるアドバイザーは、そういないかもしれません。
しかし、歴史から学べることは、自分勝手な判断で行動することが、いかに損を招くかということです。
ぜひとも、この考えも自分の投資哲学の1つとして、考えてみることをお勧めします。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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