ミッションステートメント言う言葉を聞いたことはありますか?
個人のモノでは、「七つの習慣」という本の中で紹介されたことが有名です。
企業のミッションステートメントと個人のミッションステートメントがありますが、それぞれ、企業や個人の価値観を明確にし、それを落とし込むことで、迷いや悩みを減らすことができるようになります。
ミッションステートメントとは何か?その概要や役割の解説、作成するにあたってのステップや、企業の例などを紹介していきます。
ミッションステートメントとは?
近年、重要視されるミッションステートメントですが、元々、企業や従業員が共有する価値観や社会的使命であるミッションを具体的に掲げることを目的としていました。
社是、社訓や経営理念とも呼ばれますが、現在は、顧客や世間などの、社外へ発信していくための、戦略的なツールとして扱われる傾向が強くなってきています。
例えば、世界各国に展開しているファーストリテイリングは、
「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します。独自の企業活動を通して人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します。」
を、ミッションステートメントとして掲げています。
まさに、ミッションステートメントがそのまま、企業の成長戦略として宣言されているいい例でしょう。
ミッションステートメントと同じような使われ方をするものに、ビジョンステートメントがあります。
このビジョンステートメントは、企業が持つ将来の夢や目標を文章化したものです。
少々違いが分かりにくいかもしれませんが、ミッションステートメントは、現在するべきことを具体的に表し、ビジョンステートメントは、その先の未来について、目標や将来の方向性を文章化したものになります。
それぞれの目的や内容、要素や共有するべき人なども異なるため、ミッションステートメントを作成するうえでは、混同しないようにしなければなりません。
ミッションステートメントの役割
ミッションステートメントを定めることは、企業内で働く人々はもちろんですが、重要な戦略や経営方針、事業の方向性を決定する際に役に立ちます。
その1つは、企業の将来を左右する重要な経営判断を迫られた時の、最終的な主軸としてミッションステートメントに照らし合わせて決めていきます。
様々な意見や情報をくみ取って、決めた方針でも、100%成功するかどうかはわかりません。
逆に、どれだけ利益が上がっていても、100%成功する保証があったとしても、ミッションステートメントに沿わない場合は、撤退という判断もあり得ます。
それくらい、ミッションステートメントは、企業の存在価値を証明するために大切な役割を果たしています。
その他、従業員の統率としても、ミッションステートメントを掲げることはとても有効な手段です。
ミッションステートメントは、従業員からすると「働く意味」です。
退職する社員を減少させる効果としても期待できるものです。
また、対外的なPRをする際のツールとしても活用できます。
経済活動としてだけではなく、社会貢献活動の選定の判断軸ともなります。
最後に、上場している企業にとっては、株主に対する経済活動結果の報告は義務です。
株主が納得のいく事業計画や目標を提示する必要があります。
どうして、その計画や目標を設定したのかを株主に納得してもらうためには、このミッションステートメントとともに知らせることが有効となります。
企業におけるミッションステートメント
企業のミッションステートメントについて、もう少し詳しく細切をしていきましょう。
企業がミッションステートメントを作成する際は、順序立てて取り組む必要があります。
ミッションステートメントを考える上での要素を把握すること、そして実際の3つのステップを踏むことで、その企業に適したミッションステートメントを作成することができます。
必要な要素
ミッションステートメントとは、一言でいうと、その会社の企業価値を表したものです。
企業が存続し続けるためには、商品やサービスの価値を創造し、それを経済や地域社会に提供することで、貢献する必要があります。
そのため、ミッションステートメントを作成するための重要な要素として、経済活動に関連するものが挙げられます。
どのような商品やサービス、顧客に対して、経済活動を展開していくかという要素です。
また、どのような市場に価値を提供するのかも大切です。企業が高い価値を創造していくためには、企業の優位性を明確にし、成長性や財務の健全性も維持する必要があります。
社会的責任や、自然環境への配慮も、社外に発信しながら経済活動を行っていかねばなりません。
最後に、企業が経済活動を行っていくために、必要な社員の存在を忘れてはいけません。
社員に対して、どのような扱いを行うのか、会社の姿勢を示すことはとても重要な要素です。
長時間労働などの劣悪な労働環境が問題視される今、働き方革命が急務とされる日本社会では、欠かせない要素といえます。
3つのステップ
実際に、先ほどの必要な要素を踏まえながら、ミッションステートメントを作成する手順を解説していきます。
具体的に、3つのステップを踏むことで、全社員が納得のいく、ミッションステートメントを作成することが可能となります。
まず、ミッションステートメントを作成するには、専門のチームを作ることをお勧めします。
どのような人を選ぶかというと、役職や社員のレベルに関係なく、企業に投資する株主も含めた、企業運営に関わる全ての人を対象に選んだほうがいいでしょう。
ミッションステートメントは、企業に関わる人すべてが理解しないといけないので、すべての人の意見を取り入れるために、このような構成が望ましいとされます。
チームの編成ができたら、次は先ほどの要素を特定していくために、議論を始めていきましょう。
その際は、メンバーの意見をすべて吸い上げることが大切です。
要素の中でも、企業を存続させるために重要な、顧客、社会的責任、自然環境への配慮、企業理念、社員に対する姿勢については、時間をかけて議論すべきでしょう。
最後に、チームの中で議論した、それぞれの要素を繋ぎ合わせ、文章化していきます。
文章化する際には、企業外に発信するため、共感を得られやすい単語を使うことが大切です。
これら3つのステップで、勧めていくのですが、これらを進めるうえで特に重要視したいことがあります。
それは、チームのメンバー全員で、ミッションステートメントを考えるということです。
企業に関わる全ての人間を、チーム選出の対象としているのは、様々な人間が理解、納得できる内容にするためです。
そのため、ミッションステートメントを作る過程で、チームメンバー全員で考え、作り上げるというプロセスが大切です。
作り上げたミッションステートメントが、達成できるものなのか、社員のモチベーションを高め、それを維持できるものなのか、企業の独自性は含まれているか、そして何より、企業外の人から見て覚えやすいモノなのかも、とても大切になってきます。
企業のミッションステートメント例
世界を見渡しても、大手企業はほとんどといっていいほど、ミッションステートメントを掲げています。
日本においても、様々な業界において、ミッションステートメントを掲げる企業があり、その企業の経済活動や社風に当てはまったものばかりです。
これからミッションステートメントを作るにあたり、参考にしてみましょう。
スターバックスコーヒージャパン株式会社
私たちは、パートナー、コービー、お客様を中心とし、Valuesを日々体現します。
お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。
勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。
スターバックスと私たちの成長のために。
誠実に向き合い、威厳と尊敬をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします。
私たちは、人間らしさを大切にしながら、成長し続けます。
スターバックスには、他の飲食業界とは異なり、細かい接客マニュアルがないといわれます。
ミッションステートメントの中に書かれているように、従業員1人1人が自ら考え、工夫して、顧客サービスや顧客満足度を高めることを第一に掲げているためでしょう。
個人のミッションステートメント
このミッションステートメントは、企業理念や企業が持つ価値観を文面化するだけでなく、個人にも応用することができます。
自分のたった一度しかない人生を、そう生き抜いていくか、どう行動していくか、自分に向き合ってその指針を決めていきます。
個人のミッションステートメントは、「7つの習慣」の著者である、スティーブン・コヴィー博士が提唱したものが有名です。
自分はどうなりたいのか、何をしたいのかを明確にするために自分だけの憲法ともいえます。
ですので、個人のミッションステートメントの内容は、人によって異なりますし、正解はありません。
何度もブラッシュアップしていくことも大切なポイントです。
6つのステップ
個人のミッションステートメントを作成するには、これから紹介する6つのステップを踏むと、納得のいくミッションステートメントを作ることができます。
まず、自分の過去を掘り下げて振り返ることから始まります。
これから先の自分の物語を作るために、時系列で書く必要はありませんが、記憶に残っているものから、思いついたことを書いていきましょう。
そして次に、今現在自分が感じていることを明確にしていきます。
日常の中で、今自分がどう感じているか、考えることは実はあまりしていないことが多いです。
ですので、質問形式で自問自答しながら、自分が感じていることを明確にできます。
例えば、自分が行った価値ある行動について、他人に貢献できたことはないか、ミスしたことはないか、その時どういう対策を行ったか、嬉しかったこと直近で会った人、感動した本など、自分の感情に問いかける質問をしながら、自分が感じていることを書き留めていきます。
過去と現状を確認していったら、理想の未来を想像していきます。
例えば、どのような最後を迎えたいかを考えることは有効です。
自分のお葬式を想像して、どんな人に参列してほしいのか、参列した人にどんな言葉をかけて欲しいのか、そのようなことをイメージすることで、理想の自分の未来に迫ることができます。
そして、理想の未来を生きるために、どのような役割を果たしていけばいいのか、どのような役割を果たしていきたいのかを明確にしていきます。
人は誰でも、何かしらの人間関係の中で生きています。
会社であったり、家族で会ったり、その人間関係の中で必ず自分の役割があります。
その中で、自分が重要だと思える役割を7つ以下で上げるようにします。
そして、自分が重要だと思える役割それぞれに、ミッションをつけていきます。
そのミッションとは、自分が本当にやりたいことや、自分がそうあるべきだと考えていることを、これまでの内容をもとに文面化していきます。
その文面化した文章を、より具体的にするために、何をやりたいのか、なぜやりたいのか、そしてどうやってやりたいのかという視点で、再構成していきます。
最終的に、具体的に書かれたミッションステートメントを、完成することができます。
修正していくことの大切さ
企業のミッションステートメントと違い、個人のミッションステートメントは、一度作れば終わりというわけではありません。
なぜなら、人の人生はずっと同じとはいきませんし、その時その時の価値観や、物事に対する考え方も変わっていくからです。
独身の時と、結婚してからを比べると、自分の役割が、恋人から配偶者に変わります。
役割が変わると、自分が先々やりたいことも変わってくるでしょうし、自分が思い描いた行動ができないときもあります。
その際は、再度ミッションステートメントを見直すことで、軌道修正することができます。
半年に一度は、作成したミッションステートメントを見直すようにするといいでしょう。
個人のミッションステートメント例
個人のミッションステートメントとは、自分だけのものですので、企業のミッションステートメントのように、誰かに公表しなければいけないということはありません。
そのため、大切になるのは、達成できるかどうか、自分自身納得できるものか、それを見たときに、ワクワクするものであるかが大切です。
以下、具体例をご紹介します。
「何事にも、自分に自信をもって、取り組む」
「口だけでなく、率先して行動に移す」
「他人の意見を聞き、多様性を認める」
「いかなるときでもプラス思考でいる」
「自分が変わることを意識する」
「自分も他人も信頼する」
ぜひ、自分だけのミッションステートメントを作成する際に参考にしてみて下さい。
まとめ
ミッションステートメントは、企業の、自分自身の行動の指針です。
きちんと作成し、落とし込むことで、より生産性の高い行動をとることができます。
企業のミッションステートメント作成を託された人だけでなく、これからの自分の人生をよりよく生きたいと考えている人にも、ぜひこのミッションステートメントを1つのヒントとして、取り組んでもらえたら嬉しいです。
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