金融庁も指摘するダメ3商品とは?過去のレポートから見る大切な学び

金融庁も指摘するダメ3商品とは?過去のレポートから見る大切な学び金融・投資

「顧客本位の業務運営」

と聞くと、いかにも金融会社のための方針と思われがちですが、逆にそれは、私たちが自分の資産の相談を誰にすべきか、見極めるためのポイントにもなりえます。

本当にこの会社、このセールスマンは、私の資産を1円でも多く増やそうと考えてくれるのか。

人生100年時代を生き抜くために、真剣に取り組む必要がある資産運用。

自分の資産を守っていくためにも、様々な角度から学びが必要です。

顧客本位の業務運営とは

2015年に金融庁長官に任命され、歴代最強と言われた森信親氏をご存じでしょうか?

金融業界を再編するために、「フィデュ―シャリー・デューティー」いわゆる、「顧客本位の業務運営」
を打ち出し、「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを本気で推し進めた人です。

これまでの金融業界、特に金融商品を取り扱う保険会社、証券会社などへ、バサッとメスを入れた、平成27年の金融レポートには、具体的に粗悪な金融商品なども公表しており、一度は読んだことがある人も、少なくないのではないでしょうか。

この、顧客本位の業務運営を進めていくうえで、基本原則となる7つが掲げられていますが、

「顧客の最善の利益の追求」
「手数料等の明確化」
「重要な情報のわかりやすい提供」

など、顧客からすると、

「え、これって当たり前のことでは?」

と思うような内容もあり、このような当たり前のことができていなかった、これまでの金融庁を改革しようとする、森長官の本気度がわかる内容でもあります。

このレポートは、これから私たちがどのような視点で、金融商品を取り扱う方と接していけばいいのか、その目安にもなりますし、正しい金融リテラシーを身につけるために、とても重要なポイントが書かれていると思います。

私たちは、今後人生100年時代を生き抜くために、「貯蓄から資産形成へ」を真剣に取り組んでいかねばなりません。

その指針となるべき、金融商品への向き合い方を今一度、考え直すきっかけになるでしょう。

ダメだしされた3つの商品とは

先ほどご紹介した、森信親金融庁長官が出した、H27年度の金融レポートには、保険会社や証券会社も驚くような内容が、多くあったと思います。

特に、具体的に指摘された粗悪な3つの商品については、正しい金融商品の選び方という意味では、とても分かりやすい事例が上がったことにより、顧客にとってもありがたい内容になっていることでしょう。

まだ、レポートを読んでいない方に、その3つをご紹介しましょう。

1つ目は、毎月分売型投資信託、

2つ目は、個人年金保険、特に外貨建てなどの貯蓄性保険商品

3つ目は、ラップ運用

と、いずれも保険会社、証券会社の売れ筋商品である点が、実に勉強になるところです。

それぞれ少し解説していきましょう。

毎月分配型投資信託という商品は、名前の通り、運用成果の良し悪しに関わらず、顧客へ毎月分配をするという投資信託です。

指摘されたのは、運用によって出た利益は、分配せずに再投資する方が運用効率が高くなるのに、顧客の投資方針を確認しないまま、収益の分配頻度が高い商品を提案しているという、顧客ニーズ無視の対応についてです。

ここでは、まず投資していくには、特に毎月現金が必要な場合を除き、運用によって得た利益は再投資することの大切さ、がポイントでしょう。

次に、貯蓄性保険商品ですが、特に外貨建て一時払い保険について指摘されています。

まず、この保険商品の販売手数料を開示すべき、と指摘されている点は、いかに保険の販売手数料が高いかが見て取れます。

さらに、死亡保険と債券運用のパッケージ商品である、この保険商品と、別々に保険商品、運用商品を購入した場合の、コスト比較も指摘しています。

このコスト比較の方法は、様々な金融商品でも使える考え方です。

特に保険商品は高い販売手数料など、顧客には明示されていない、しかし顧客が保険料として支払っているコストが、かなり多く含まれていることを、再認識することができるでしょう。

3つ目のラップ口座ですが、先に述べた2つと比べてあまり聞きなれない商品です。

ラップ運用とは、顧客の資産運用を、証券会社などへ包括的に任せるという仕組みの商品です。

この商品について言われていることはただ一つ、その手数料の高さです。

すべてを証券会社に任せるということで、どれだけの手数料をむしり取られているのか、購入者自身でも把握していないケースも、多いのではないでしょうか?

これらの手数料はすべて、運用コストにあたりますので、それだけ高い収益を選られるような運用をしない限り、自分の資産は増えていかないことになります。

このように、レポートで指摘されている内容を見ると、これまでいかに保険会社、証券会社が、顧客目線に立っていなかったかがよくわかります。

ただ、金融庁がこのような商品には近づかないようにと、警笛を鳴らしてくれている以上、これを知った私たちは、自分の資産形成の学びとして役立てることができます。

資産運用の鉄則

最後に、このレポートで伝えられている、資産形成の鉄則について紹介していきましょう。

このレポートが開示されたときには、まだ積立NISAの制度はできていませんでした。

このレポートの中で、積立NISAを構想中だという内容もあることから、金融庁が正しい投資の方法を普及しようとする意図が含まれているのだと考えられます。

まさに、資産形成の鉄則は、分散投資、積立投資、長期投資、であるといえます。

この考え方は、自分の投資理論の中にしっかりと持ってもらい、後はどの商品を選ぶか、誰に相談するか、きちんと見極めを行っていくことが大切です

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、過去のレポートから、私たちが知るべき資産運用の鉄則を、再確認しました。

国は私たちにいろいろな形で、資産形成のサポートをしてくれています。

これらを活用し、かつ自らも学びながら、人生100年時代を強く生き抜くすべを、身につけていきましょう。

ライター馬込 八寛

生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。

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