資産運用をするにあたって、基本的なルールがあることをご存じでしょうか?
それは、一転に集中するのではなく、分散するということです。
時間を分散する、お金を分散する、投資する対象を分散する。
その目的は、リスク軽減になりますが、今回は、「投資する対象を分散する」ということについて、解説していきたいと思います。
投資する対象は、実にさまざまありますが、その分け方に、決まった数字などはありません。
自分がいつまでに、どれくらいの資産を持てばいいのか、ゴールを決めたうえで、その時々の年齢、ライフステージに合わせて変更していきます。
それらを考える際のヒントになればと思います。
分散投資をする理由
資産運用をするにあたって、自分の資産=お金を、「どこに置くのか?」ということが、一番大切なポイントになります。
それによって、お金の増え方、減り方が大きく違うからです。
資産配分と言ったりしますが、これは、対象の地域や、対象の金融資産、の組み合わせや、その割合いを決めることを言います。
資産運用の情報を見ると、ほとんどの資料に書いてあるのが、「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉です。
卵を目的地まで運ぶ際、すべての卵を1つのカゴに盛っておくと、もしそのカゴを落としてしまったら、すべての卵がダメになってしまいます。
前もって、いくつかのカゴに分けて盛っておけば、もし、カゴを落としてしまっても、すべての卵が割れることはありません。
資産運用もこれと同じで、一つの地域や、金融資産にまとめるのではなく、様々な種類に分散しておくことで、リスクを軽減することができるというわけです。
投資対象の種類
それでは、実際に資産を分ける際に、どのような種類があるのかをご紹介します。
1つは、対象となる地域についてです。
よく、「株式投資を始めるぞ!」と言って、日本の株式ばかりを研究している人がいます。
そういう方からの相談には、もっと視野を広げてみてはどうでしょうか?という話をします。
金利にしても株価にしても、経済成長している国のほうが、より高い利率、株価を付ける傾向があるのは、イメージできると思います。
同じラーメン店でも、繁盛していないお店には、だれにもいかないのと同じで、私たちの資産も、経済成長が著しい国へも、分散投資することがおすすめです。
私たちは日本にいますが、海外の企業にも投資することは可能です。
そうであれば、世界を見渡して、より経済成長している国へも、投資することが好ましいでしょう。
「世界の株式時価総額」を調べてみると、実に日本は世界の1割弱にもなりません。
アメリカが約4割、中国でも1割ちょっとです。
そうであれば、より経済が回っている海外も、投資の対象地域に入れるべきでしょう。
もう1つは、対象の金融資産です。
主な金融資産を上げると、株式、債券、不動産、コモディティです。
簡単にその内容を紹介します。
「株式」とは、上場企業が企業活動をするうえで、資金調達のために発行する有価証券です。
私たちはそれらを売買し、収益を出します。
また、株式を保有することで、配当金を受け取ることもできます。
企業の成長に合わせて、株式の価値も変動しますので、そのリスクは大きいとされています。
「債券」は、国や会社が資金調達のために発行する有価証券です。
保有期間中、利子を受け取ることができ、満期時は額面金を受け取ることができます。
発行元が国であれば、破綻するというリスクは低いですが、株式のように大きな収益性は見込めません。
資産運用における「不動産」とは、一般的に住む目的ではなく、投資用として所有するものを言います。
第三者に貸し出すことで、収益を得る運用益と、不動産を購入時よりも、高い価格で売却する売却益によって、収益を出していきます。
入居者がいる限り家賃収入が入るため、株式等よりもリスクは少ないようですが、近隣の状況次第では、家賃の減額を求められたり、空室による、家賃収入の減額のリスクもあります。
最後に、「コモディティ」ですが、これは、金や銀、プラチナなどの貴金属、原油や天然ガスなどのエネルギー、小麦やトウモロコシ、牛肉などの、農産物、畜産部のことを強います。
コモディティ投資とは、それらの、商品先物市場に投資することを言います。
資産運用というと、株式や債券のイメージが強いですが、このコモディティに投資するのは、インフレに強いという特徴があるからです。
インフレとは、モノの価値が上昇することを言いますが、逆に、お金=貨幣の価値は下がります。
モノの値段が上がるということは、それに伴って、原油や小麦などの価値も上がることになります。
そういう場合にも、お金をコモディティ商品にかえておけば、インフレに負けない資産として保有できます。
リスク分散のポイント
分散する対象や金融商品も様々で、
「実際の分散方法はどうしたらいいの?」
という相談もよくあります。
この分散方法については、実に賛否両論ありますので、一般的なお話をします。
分散する理由は、リスクを抑えるためにということを、冒頭お伝えしましたが、まず、そのリスクとは一体何かをおさらいします。
資産運用でいうリスクとは、価格の振れ幅を言います。
リスクが高いということは、価格が上がったり下がったりの、価格の上下運動の幅が大きいことを言います。
あまりにも、価格の振れ幅が大きい=リスクが高いと、ハラハラドキドキ、最終的には怖くなってしまい、資産運用をやめてしまうという、心理的負荷がかかります。
ですので、この負荷を抑えるために、リスクを抑える分散方法をとります。
ポイントは、逆の値動きをする資産を組みわせることです。
特に、株式と債券は、おおよそ逆の値動きをします。
極端な例を挙げると、株式が10%下落している際、債券が10%上昇すると、それぞれの資産を1対1で保有していたら、リスクはゼロになるということです。
もう少し詳しくお伝えします。
株式の値動を示す株価は、どのような時に上昇するでしょうか。
それは、景気が好調な時です。
このとき投資家は、値動きの小さい債券よりも、株式のほうに価値を感じて購入するため、株価はより高くなっていきます。
一方で、景気が不調な時には、株式を保有していることで生じる損失が、大きくなると予想されるので、より安全な資産である、債権を購入する投資家が増えます。
そのため、債券価格は上昇します。
つまりは、株と債券を保有しておけば、景気が上昇しているとき、景気が後退しているとき、どちらも資産が大きく減ることはなく、安定的な資産形成が可能になるということが、資産を分けるという、基本的な考え方になります。
まとめ
このように、いざ資産運用を始めるといった際に、いくつか知っておくべきルールがあります。
私たちのようなIFAに相談があるのは、一人で考えて資産運用を始めてはみたものの、本当にこのままでいいのか不安、というものです。
情報が多い現代ですが、正しい情報を見抜くためには、ある程度の知識が必要です。
そのような知識を正しい場所からぜひとも、習得していきたいものです。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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