2017年にNISAを使って、投資信託の取引をした方へ「ロールオーバー」の案内が来る頃でしょう。
実際には、「非課税口座内上場株式等移管依頼書」という書類が証券会社などから送ってきます。
その返信には期限があるため、期限内に返信がないと、特定口座へ移管されるため注意が必要です。
少しずつ普及してきた、「貯蓄から資産形成へ」のスローガンですが、日々、投資の勉強はしていく必要があります。
今回は、ロールオーバーについて、した方がいいのか?それとも、しない方がいいのか、検証してみたいと思います。
ロールオーバーとは?
まず、NISA(一般NISA)について、知っておかなければいけないのは、株式、投資信託などの譲渡益、配当金、分配金は、5年間は非課税ということです。
現在2021年11月ですが、2017年にNISA口座を利用して購入した、株式、投資信託などの非課税期間は、今年2021年12月で終了します。
該当者には、ちょうど今の時期に、ロールオーバーの案内が証券会社などから、きているころだと思います。
ロールオーバーとは、5年間の非課税期間が終了した時に、NISA口座で保有している金融商品を、翌年の非課税投資枠に移すことを言います。
今の税制では、ロールオーバーをすれば、最大10年間非課税で運用が可能となっています。
NISA口座を使って、株式、投資信託などの金融商品に投資をした場合、毎年120万円の非課税投資枠が設けられますが、ロールオーバー可能な金額に上限はありません。
5年前に投資した商品の時価が、120万円を超えている場合でも、その全額を翌年の非課税投資枠に移すことができます。
ただ、一つ気をつけなければいけないことは、この場合、120万円の非課税投資枠を使い来ているため、新たにNISA口座での買付はできないということです。
また、ロールオーバーができるのは、一般NISAとジュニアNISAです。つみたてNISAはロールオーバーができません。
ロールオーバーするには、翌年分のNISAが開設されてること、そして定められた期間までに、所定の手続きをする必要があることも、注意しておく必要があります。
非関税期間終了後の選択肢
実際に、5年間の非課税期間の終了に伴い、私たちが選択できる選択肢は3つあります。
1つは、先ほどお伝えした、ロールオーバーを行い、翌年の非課税投資枠に移す方法です。
証券会社などから送られてくる書類にて、手続きが可能となります。
2つ目は、課税口座へ移管する方法です。
ロールオーバーを希望しない場合は、証券会社などから送られてくる書類にて、手続きする必要はありません。
そのまま非課税期間満了後、特定口座に移管します。
特定口座を持っていない場合は、一般口座へ移管されます。
特定口座、一般口座へ移管する場合、所得価額は非課税期間満了時の、最終営業日時点での時価となります。
当たり前ですが、移管後の配当金や売却益については、課税されることになります。
3つ目は、売却するという選択肢です。
もちろんこの売却は、5年間の非課税期間が終わらないうちにです。
NISA口座での売却となるため、値上がりによる利益は非課税となります。
値下がりによる損失については、損益通算・栗行使控除はできません。
ロールオーバーのメリット、デメリット
では、最後にどういった場合に、ロールオーバーしたらいいのか、考えてみることにしましょう。
ポイントとなるのは、5年の非課税期間が終了する際、投資したお金が増えているか、減っているかです。
資産が増えている場合、2つの選択肢が考えられます。
1つは、売却することです。この見極めは、現在買っている金融商品が、今後も伸び続けるかどうかによるでしょう。
翌年も非課税口座枠を使って投資をする場合、現在の商品と比べて値上がり幅が大きいと、予想できそうであれば、売却して、新しい金融商品にて投資していく方がいいでしょう。
2つ目は、ロールオーバーするということです。
現在NISA口座で投資している商品が、その後も値上がりしそうな場合は、ロールオーバーして、さらに値上がりを期待する方がいいでしょう。
しかし、5年間運用して保有資産が120万円を超えている場合は、いずれにしても、ロールオーバーした方がいいでしょう。
それだけ値上がりしている商品であれば、その後の値上がりも期待できるでしょうし、なおかつ、新しい非課税口座枠を使って投資する場合は、上限が120万円となるからです。
ロールオーバーであれば、その上限額を超えて投資できるわけですから、さらに値上がりすることを考えれば、より非課税が大きい方が有利になるでしょう。
もし値下がりしている場合はどうでしょうか。
ロールオーバーして、さらに5年間運用を続けて値上がりを待つ、という考えの方もいるようですが、その際には、現在運用している商品について、再度確認してみることをお勧めします。
その商品がどのような企業に投資しているのか、過去の運用実績や、運用会社の投資方針は時代に合っているのか、いくつかの判断材料をもって、検証してみるといいでしょう。
どうしても、今後の値上がりが期待できないのであれば、売却してより値上がりが期待できる商品に投資することをお勧めします。
売却する場合には、NISA口座では売却せず、いったん課税口座に移してから売却すると、損益通算が可能となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ロールオーバーの時期が来ている方は、今の保有資産が、5年前と比べてどうなのか、確認していただいてベストな選択をしてほしいです。
投資信託を使って、資産運用する人も少しずつ増えてきています。
その分いろいろな情報が飛び交っていますが、確かな情報をもとに、正しい選択ができるよう日々学びたいものです。
2024年から、NISA制度が新しくなります。
また違う記事にて案内していきますが、まだNISA制度を使っていない人は、ぜひ1日でも早くスタートすることをお勧めします。

ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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