日本政府が行う金融政策については、去年の為替介入が記憶に新しいでしょうか。
2022年の9月、1998年以来の円安を記録した際の出来事でした。
このように、いろんな場面で金融政策が行われていますが、ずっと続く政策に金融緩和があります。
しかし、ニュースなどでよく耳にするものの、詳しくはよくわからないという人もいると思います。
この金融緩和が、私たちの生活にどう影響しているのか、また、日常の一部になりつつある投資に、どう影響があるのかを、解説していきましょう。
金融緩和策とは
金融緩和策とは、中央銀行が行う金融政策の一つです。
日本においては、日本銀行がこの政策を実行しています。
この金融緩和策は、市場に出回るお金の供給量を増やすことを言います。
それにより、経済を活性化、いわゆる景気を上向かせよう、とする手段として使われます。
この金融緩和策の逆は、金融機引き締めという政策もあります。
これは、市場に出るお金の供給量を減らすことを言います。
この引き締めを行う目的は、物価の安定や、景気の過熱を抑制するというためです。
一般的に金融緩和策は、日本銀行がどのようなことをするかというと、
「政策金利の引き下げ」
「国債などの資産の買い上げ」
です。
政策金利が引き下げられると、民間の金融機関は企業への貸出金利や、個人への住宅ローン金利などを、下げるようになることが一般的です。
その結果、企業も個人も金融機関からお金を借りやすくなり、設備投資や消費が拡大し、その結果経済活動が活発になります。
政策金利の引き下げに加えて、国債などの資産が買い上げられると、国債の価格が上昇することになります。
この国債の買い上げが、どう金融緩和につながるのか解説します。
日本銀行が国債を買い上げると、各金融機関は国債からの利息を受け取ることが、できなくなります。
国債の価格が上昇すると、金利は低下しますので、金融機関が利息収入を期待できなくなる原因です。
金融機関は国債による利息収入が減るため、企業や個人への融資からの利息収入を得ようと、貸出金利を下げることを検討します。
その結果、毛政策金利を引き下げた場合と同様、企業や個人がお金を借りやすくなり、経済活動が活発になるというわけです。
金融緩和策が物価に与える影響
金融緩和策によって、私たちの日常生活にも影響が出ます。
先ほど解説した、企業の金融機関からの借り入れがしやすくなることは、設備投資などを促し、企業の売り上げの増加や株価上昇にもつながります。
これは最終的には、労働者の賃金向上にもつながることが期待できるでしょう。
ただ、金融緩和策を打ち出しても、理論通りにいかない場合もあります。
企業の業績向上から、労働者の賃金アップにつながったとしても、物価が上がるからです。
金融機関からの融資が受けやすくなったり、賃金がアップすると、個人の消費意欲は高まります。
モノやサービスに対する需要も出てくることが、物価上昇の原因です。
また、物価が上昇しているにも関わらず、賃金引き上げにならないこともあるため、注意が必要だと言えます。
金融緩和策が個人投資家に与える影響
2016年に日本銀行は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入しました。
それは今2023年現在も継続中の政策です。
2%の物価上昇が、安定的に持続するために必要な時まで、これは継続される見通しです。
そうなれば、このインフレがしばらく継続すると考えて、私たちの投資行動を考える必要があります。
インフレという物価上昇に潜むのは、資産価値の目減りです。
それを実感している人は多いようですが、そのための対策を講じている人は、それほど多くはないようです。
逆に対策をとっている人で、圧倒的に多いのは、株式や株式投資信託への投資です。
それだけ、インフレに強い資産が株式という証拠ですが、まだまだ、こういった投資に対する不安を持つ人が、多いというのがわかります。
まとめ
金融緩和策は、事情に出回るお金の供給量を増やし、経済を活性化させることです。
日本においては、しばらくこの状態が続くようですが、日本銀行の政策の動きには、注目しておきたいところです。
ただ、もっと私たちが力を入れるべきは、この金融緩和策時において、自分の資産をどう守るか、どう作るかでしょう。
インフレは今後も続くと予想されますので、そのための対策として、何が適切なのか、学ぶことがとても大切です。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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