一般的なサラリーマンからすると、経済的な自立を達成し、早期に退職しようという、いわゆる「FIRE」の考え方は、とても理想的なものではないでしょうか。
会社で抱えるストレスは人それぞれですが、ただそのストレスから解放されたいという一心で、FIREを目指すのであれば、もしかすると、「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性もあります。
FIREのデメリットや、注意点についてもよく知っておくことで、本当の意味で、自分の人生に向きあうきっかけになればと思います。
FIREと目的
「お金の不安が無くなったときに、何をしたいか?」
これは、FIREを目指すため、人生をどう生きるかを考える上で、必ず自分自身に問いかけるべき質問でしょう。
逆にこの答えなくしては、FIREを目指す意味がないことは、多くの人が語っていることです。
実際にFIREを達成し、人生を謳歌している人が行っていることを見ると、
・自分の好きな農業をしながら生活
・世界を旅しながら、ボランティア活動
・地域のコミュニティで子供の教育をサポート
など、「自分が本当にしたかったこと」に優先的に時間を使う、というライフスタイルを送っています。
一方、このような人もいます。
一生懸命定年まで働き続けて、やっと定年退職。最初は、旅行や好きなことを満喫していたが、しばらくすると、
「旅行はもう飽きた」
「することがない」
もしかすると、知り合いにいらっしゃるのではないでしょうか?
ただ単に、自由な時間を手に入れることだけが、FIREを目指す理由ではないと思います。
確かに、FIREを達成すると、自分の人生を謳歌できるだけのメリットは、たくさんあるでしょう。
しかし、実はデメリットも多くあります。
FIREを目指す上で、注意すべき点について考えてみましょう。
FIREの注意点
FIREの頭文字、FIは経済的独立を指します。
FIREを達成している方のほとんどが、資産運用にて生活費を捻出していること考えると、投資を行う元本を貯めることは、必ず行うべきステップです。
その上にRE、早期リタイアが実現されますが、経済的独立を果たし、ただ単に楽しく遊んで暮らすということは、本当の意味でのFIREとは、違うような気がします。
「自分が本当にやりたいことは何か?」
それを見出さずにリタイアしても、以下のようなデメリットが生じますので、注意が必要です。
生きる目的を見失う
早期リタイアをすることで、自由な時間を手に入れ、仕事上のストレスから解放されることは、大きなメリットです。
しかし、有り余った自由な時間をどう使えばいいかわからず、一度は退職したものの、やりたいことが見つからずに、仕事復帰したという例もあります。
リタイア前には仕事を通して、社会と繋がっていたという実感がありましたが、それもなくなり、急に孤独感に悩まされる人も少なくありません。
資金が足りなくなる
FIREの失敗談で、よくあることと言えば、投資による生活費の捻出が難しくなることです。
景気がいい時は、需要が供給を上回り、インフレが起こる可能性があります。
物価上昇の影響で日本円の価値が下がり、同時にモノの値段が下り、支出が増えることで、生活を圧迫することが予想されます。
投資をすることで、様々なリスク回避の知識は学ぶと思いますが、何が起こるかわからないということも、想定しておくべきでしょう。
給料をもらっていたころは、景気が良い時には、給料も上がる傾向があったため、そう物価上昇も気にならなかったでしょう。
インフレや円高は、個人の力でどうしようもないため、投資による生活費の年収を考える際にも、リスクの分散など、保有資産のリスク分布もきちんと、心掛けておく必要があります。
まとめ
私たちの生きる目的は、「生活するためのお金を稼ぐこと」だけ、ではないと思います。
そういう意味では、生きる目的を考えると同時に、働く目的を考えることも、大切なポイントになりそうです。
ストレスなく仕事ができる状態であれば、リタイアする必要もなく、体力や環境が許す限り、好きな仕事をし続けることが可能になります。
完全に仕事を辞めてFIREするということの他に、好きなことを仕事にすることで、サイドFIRE、バリスタFIREという考え方もあります。
時間を持て余して、人生を退屈に生きるよりは、自分にできること、自分が楽しいと思うことを仕事にし、少しでも生き生きと生活することがより人間らしいのではないでしょうか?
※当記事は情報の提供を目的としており、投資などの行動を誘導する目的で公開しておりません。また、当記事の記載内容に関するご質問には、一切お答え致しかねますので、ご了承お願い致します。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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