貯金の最大の敵とは?日本の金融教育の歴史から学べること

貯金の最大の敵とは?日本の金融教育の歴史から学べること

生きていくにはお金の存在は欠かせません。

そして誰もが、その金はたくさんあったほうがいいと思うでしょう。

お金を増やす方法は、とてもシンプルで、「支出を減らして、収入を増やす」ことです。

そして、すぐにできることは、家計の支出から無駄なものを減らすことです。

特に固定費ともいえる、保険、携帯料金、住宅ローンなどは、意外と無駄なお金を払っている場合もあり、その無駄を省くことを、ビジネスとしているサービスもあるくらいです。

大切なことは、無駄なものを省いて浮いたそのお金を、どう使っていくかです。

お仕事による収入を大きく増やすことは、サラリーマンであればなかなかすぐにはできませんが、無駄なものを省くことで、使えるお金を作ることは、ある意味収入を増やすということにもなりますので、ぜひすぐにでも行動に移したいものです。

今回は、その浮いたお金をどこに置くべきかを考えていきます。

まず頭に浮かぶのが「貯金」でしょう。

その貯金が、本当に適切なお金の置き場であるのかどうか、解説していきましょう。

どうして日本人は貯金好きなの?

日本の金融教育の元祖は、昭和27年に発足した「貯蓄増強中央委員会」と言われます。

現在の金融広報中央委員会に当たりますが、当時は戦後のインフレ抑制と自立復興のために、「貯蓄奨励」を目的とした活動が主だったようです。

しかし、その当時の日本においては、右肩上がりで経済が成長した時代、平均寿命もそう長くはなく、さらに、銀行の金利が約6%から8%と、「貯金」をすることに、なんら不安もなかったことでしょう。

貯金における複利の力はとても強力で、「72の法則」(複利運用してお金が2倍になる年数を計算する方法)を使って計算すると、72÷8=9年と、今の日本では考えられないほど、お金が増えるということを実感できたはずです。

今私たちが生きる現代において、金利が低いからと言って、貯金をしなくてもいいというわけではありません。

知らないうちに、お金が増えるという時代ではないからこそ、過去の常識に対して疑問の目を向け、考え方を変えていく努力が必要でしょう。

日本政府も、

「貯蓄から投資へ」

とスローガンを掲げています。

まずは、なぜ「貯蓄から投資」なのかを理解するためにも、貯金について少し考えてみましょう。

貯金の最大の敵とは?

貯金の一番のメリットは、その換金性でしょう。

病気にかかる、事故でけがをするなど、思いがけない出費は誰でも起こります。

そうした時に、貯めているお金があれば、すぐにお金を使うということができます。

貯金が好きな人の中には、タンス預金をする人もいます。

タンス預金は、盗難や災害のリスクはありますが、銀行の倒産による損失を防げたり、または贈与税、相続税の目をかいくぐるために、行う人もいるようです。

しかし、銀行への貯金にしても、タンス貯金にしても、お金をそのまま置いておくということには、最大のデメリットがあります。

それは、「インフレ」です。

例えば、国立大学の入学金の推移を見ると歴然です。昭和50年の入学金は50,000円ほどでしたが、その10年後、昭和60年には120,000円、更に10年後の平成7年には、なんと260,000円です。

昔の50,000円は、現代の50,000円ではないということです。

お金自体の価値は変わりませんが、世の中、私たちの身の回りのモノやサービスの価値が、どんどん上がっているということです。

そう考えると、持っているお金の量自体を増やしていかないと、その分マイナスになってしまいます。

昔は、銀行に入れておきさえすれば、その高い金利で勝手に運用され、増えていきました。

しかし、もう常識が通用しないのが、現代の日本です。

このことをまずは理解することが、とても大切です。

昔からの根強い貯蓄神話に疑問を持ち、それを改善するために行動した人が、より良い将来を築けるのだと思います。

貯蓄から投資へ

昔の金融教育のままではいけない、これを一番よくわかっているのは日本政府です。

その証拠の一つに、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の誕生があります。

2001年4月に、財政投融資制度改革が行われると、それまでの年金積立金の預託義務は廃止となり、厚生労働大臣による、年金積立金の市場運用が実施されることになりました。

その後2006年に、今のGPIFへ寄託されることになります。

そうしないと、日本の年金制度は崩壊することが分かっていて、それを回避するには、年金積立金の運用をすることが、唯一の方法だということの証拠だと言えるでしょう。

また、私たち国民へ「貯蓄から投資へ」という日本政府の方針を初めて打ち出したのも、当時の小泉首相です。

2001年6月、発足後最初にまとめた「骨太の方針」により、「貯蓄優遇から投資優遇への金融の在り方の切り替え」と表明したのが始まりです。

それから投資することへ、様々な優遇策を打ち出してきました。

約20年経ちましたが、最近ようやくNISAやiDeCoなど、投資に対する税制優遇策の存在が多くの方に知られるようになった気がします。

しかし、欧米諸国と比べるとまだまだ、投資への意識は低いといえます。

私たちは一日も早く、過去の金融教育から脱却し、将来の豊かさのために動き出さねばなりません。

まとめ

学習指導要領の改訂が行われ、2022年度から高校の家庭科の授業で、金融教育が行われるようです。

子どもたちが、資産形成や投資について学び始めると、次第に投資することが当たり前になってくることは、簡単に予想されます。

私たち大人は、その前に何かアクションを起こす必要があるのではないでしょうか

ライター馬込 八寛

生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。