最近、「芸能人が投資詐欺の被害に遭った」というニュースから、「若者を狙った投資詐欺が後を絶たない」といったニュースなど、多くの事件が起きているように思えます。
きっと誰もが、「自分は大丈夫」と思っていると思いますが、これだけたくさんの人が被害に遭うのは、きっと投資詐欺の手口がとても巧妙なのでしょう。
だからと言って、防ぐことはできないのかというと、そうではありません。
投資詐欺はなからず防ぐことができます。
そのための知識や、もしそういうことに遭遇した時に、どうしたらいいのか、改めてお伝えしていきたいと思います。
投資詐欺でよくある5つの手口
投資詐欺といっても、実は色々な種類があります。
しかしその9割が、「ポンジ・スキーム」といわれる手法であることをご存じでしょうか?
アメリカの詐欺師の名前が、そのネーミングの由来ですが、この「ポンジ・スキーム」の他にも、いくつかのパターンがあるため、ご紹介していきましょう。
まずこの「ポンジ・スキーム」ですが、これは、好条件を謳って出資者から資金を集め、その資金は実際には運用などなされず、他の出資者の配当に充てられ、ある程度の資金が集まったところで、詐欺師がいなくなってしまうというものです。
これは、出資者が次々に増えている間は、予定通りの配当を受け取ることができるため、出資者が詐欺と気づかないという点が、巧妙な点です。
そのため、出資者は追加の出資をしてしまったり、口コミで人に勧めてしまったりと、被害者がどんどん増えるということも、起きてしまいます。
中身は自転車操業であるため、いずれ破綻して配当金が支払われなくなります。
この「ポンジ・スキーム」の他に、「劇場型」と呼ばれるものがあります。
それは、複数の登場人物がグルになって、それぞれの役を演じることで、人を騙す詐欺の手口を言います。
例えば、詐欺師Aが、X社の株の勧誘をしてきます。
しばらくして、今度は別の詐欺師Bが、X社の株を高く買い取りたいと申し出ます。
登場人物が複数になり、同時にX社の株の評価を上げるため、X社の株は有望だと信じてしまうのです。
それで実際には、価値のない株に投資されるという手口です。
こういった株関連の手口としては、「未公開株」による詐欺もあります。
「未公開株」とは、その時点では、証券取引所に上場されていない、企業の株式のことです。
企業が上場すると、その株価は大きく上昇することが一般的なため、有望な未公開株に投資すると、大きな利益を得ることができます。
そういった「未公開株」を買いましょうと、詐欺師は話を持ち掛けてきますが、本当に優良な企業なのか、本当に上場予定なのか、個人で調べることは難しいです。
実際には、存在しない企業の株式が、売りつけられることもあります。
また、「年利20%以上」などという、「高利回りファンド」を勧誘するという手口もあります。
ファンドというのは、多くの出資者から資金を集めて、プロのファンドマネージャーが共同運用します。
投資初心者の人にとっては、有効な資産運用方法の一つです。
しかし、ありもしないファンドを勧誘し、ある程度資金が集まったところで、詐欺師たちは、音信不通になってしますというものです。
最後に、「システムトレード」を使った手口です。
資産運用の手法の一つに、コンピューターを使って、一定のルールに従って、自動的に売買を行う方法です。
このシステムトレードを悪用し、「このプログラムで株式投資をすれば、必ず儲かりますよ」と話を持ちかけて、システムトレードを売りつけて来ます。
そのシステムを使って投資する対象が、株式、FX、仮想通貨などで、実際に同じ投資対象商品で、大きな利益を出している人がいるため、信じてしまいやすいという点があります。
気を付けたい詐欺師の3つのキラーフレーズ
実に巧みに、色々なパターンの詐欺がありますが、こういった詐欺も防ぐことは可能です。
正しい知識を身に着けることが、一番大切ですが、詐欺を見抜くための一つの判断材料に、詐欺師が使うキラーフレーズがあります。
このキラーフレーズは、主に3つありますので紹介していきます。
「必ず儲かります」
このフレーズは、詐欺師が使う一番のキラーフレーズです。
そもそも投資とは、必ずリスクが伴うもので、絶対に儲かるという仕組みはありません。
それでも、「必ず儲かる」と勧誘してくるのは、重大なリスクを隠しているか、そもそもそういう投資案件は存在しない、という詐欺の可能性を疑った方がいいです。
もちろん、金融商品取引法においても、そういった断定的な表現は、禁止されています。
「元本保証です」
詐欺師のキラーフレーズ2つ目は、このフレーズです。
定期預金など、一部の運用方法を除いて、ほとんどの投資商品では、元本が保証されることはありません。
「あなただけに教えています」
このキラーフレーズも、詐欺師がよく使われるものです。
詐欺師は自分の話を信じ込ませようと、あなただけの特別な話をします。
世の中には一人で独占できる商品は、ありませんので、冷静になると詐欺だと疑えるフレーズです。
投資詐欺に騙されないための心構え
最後に、こういった投資詐欺に騙されないために、日頃から私たちが気を付けるべき心構えについてお伝えしましょう。
まず一つは、投資話を紹介されたときには、紹介相手の会社や商品が、許可をもらっているかどうかを確認しましょう。
金融商品やそれらを販売する会社は、金融庁への届け出が必須事項となります。
今では、金融庁のホームページにいくと、届け出のある会社は閲覧することが可能です。
そこに名前がないと、詐欺師もしくは、詐欺的な商品である可能性が大きいですので、ネットなどで検索する意識を持ちましょう。
もう一つは、おいしい話は一人で考えないということです。
世の中に、おいしい話はありません。
もしあったとしても、それを独り占めできるということは、まず無理です。
投資詐欺に遭ったことのある人は、そのほとんどが、判断を自分自身でしてしまったことで、詐欺に遭っています。
詐欺師が、「他人に話さないように」と誘導するかもしれませんが、そういうことを言うこと自体、正しい商品の販売法ではありません。
冷静になって、身内や友人、もしくは金融機関などの専門家に相談しましょう。
まとめ
投資詐欺の手口は、実に様々、かつ巧妙なものが多いです。
しかし、断言できるのはこういった投資詐欺を防ぐことは可能です。
大切なことは、正しい知識と一人で考えないことです。
私たち人間の欲は果てしないですが、「おいしい話」「自分だけの特別な話」というのは、ほとんどありません。
冷静に考えるための知識と、相談できる相手を見つけることが大切です。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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