20世紀最大の発明といわれる「複利」。
多くの資産運用の情報においては、この複利を活用すると、
「メリットだらけ」
「雪だるま式にお金が増える」
と言われていますが、本当にそうなのでしょうか?
結論から言うと、どんな投資でも、絶対に儲けられるわけではありません。
複利運用にも、きちんとデメリットもあります。
どのようなことに気を付けると、複利運用を活用できるのか、意外と知らない複利運用のデメリットに焦点を当てて、お伝えしていきましょう。
複利の効果
複利とは、運用によって得た利益や利息を、元本に組み込んで、運用に回す資金を増やしていく方法を言います。
例えば、銀行預金で、当初の預金額が100万円とします。
1万円の利息が出た場合、その利息を元本に組み入れ、101万円にして、預金を続けるということが複利運用です。
この場合、次回の利息は預金額101万円に対して、発生することになります。
この複利運用のメリットは、なんといっても、資産形成のスピードが、とても早くなるということです。
72の法則というものをご存じでしょうか?
72 ÷ 利回り =元本が2倍になる年数
これは、複利運用で元本が2倍になる年数を求める計算式となります。
例えば、利回り6%の場合、
72 ÷ 6 = 12
12年で元本が2倍になるということです。
一方、100の法則は、単利運用で、元本が2倍になる年数を、求める計算式となります。
利回り6%で比較すると、
100 ÷ 6 = 16.6
約16年で元本が2倍になります。
このように、複利運用は単利運用と比べて、目標金額に早く到達することができます。
複利と時間
それでは、複利運用のデメリットをお伝えします。
複利運用は、単利運用と比べると、資産形成するスピードが、とても速いとお伝えしましたが、運用期間経過するにつれて、大きな効果が期待できる方法です。
逆を言うと、ある程度の長い期間、そのお金を使えないということです。
複利と単利での、運用結果のグラフなどを見ると、運用期間が0~10年は、資産は、それほど顕著に増加していきません。
しかし、運用期間が11年以降では、複利運用の資産形成曲線が、カーブを描くように大きく上昇します。
ですので、長期間資金が拘束されることを、認識しておく必要があります。
複利と利率
もう一つ、複利運用で、気を付けなければいけないことは、プラス運用が続いていることが、前提になっているということです。
複利運用の代表である株式投資など、元本保証のない金融商品の場合は、毎年必ずプラス運用できるとは限りません。
マイナスの状態で、複利運用をすると、資産は増えるどころか、逆に損失が大きくなる可能性もあります。
また、複利運用できる金融商品であっても、金利が小さいと、増える金額もあまり期待できません。
まとめ 複利運用は、万全な運用方法ではありません。
長期的に資産を増やしていくのに、適した運用方法ですが、元本保証がない金融商品は、思ったほど運用成果が出ないこともあること、ある程度の運用期間中は、その資金が拘束されるという、注意点もあります。
しかし、それらのデメリットを回避するために、長期的に資産形成を目指す、積立投資とは、相性がいいという特徴もあります。
複利運用の、メリット、デメリットを把握したうえで、自身のライフプランに合わせて、賢く活用することをお勧めします。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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