ふるさと納税を通して、自分が生まれ育った町を活性化したい。
そう思う人が多い証拠に、ふるさと納税を活用する人がどんどん増えています。
返礼品欲しさに、ふるさと納税する人も多いようですが、それはそれで、地方自治体のアピールの一環であるため、良い効果だといえます。
理由はどうであれ、ふるさと納税という魅力的な制度を、私たちは使わない手はありません。
2020年度、ふるさと納税による寄付金額は6724億円。
前年度から37.9%の伸びで、過去最高だと発表されています。
まだ、ふるさと納税したことがない人へ、この年末に差し掛かる時期に、改めてどのような制度なのか、知ってほしいと思います。
ふるさと納税の魅力
ふるさと納税制度の始まりは、平成19年5月の総務大臣の問題提起からだといわれます。
「多くの国民が、地方のふるさとで生まれ、教育を受け、育ち、その後進学や就職を機に都会へ出て、そこで納税をする。都会の地方自治体はそこで税収を得るが、元居た故郷の地方自治体には税収はない。
自分の意志で、いくらかでも納税できる制度があっても、いいのではないか?」
この制度ができたことで、ふるさとの大切や、お世話になった方や地方への恩返しの思いを再認識した人も多いでしょう。
また、納税してもらう地方自治体においても、町のアピールをする必要があることから、行政と民間業者との関係も強化されることにより、地方自治体全体にとって、大きな意義がある制度になるでしょう。
実際に、ふるさと納税で得た税金を、自治体がどのような街づくりに生かしているか、紹介しているサイトもありますが、交通安全、犯罪防止のための整備や、子供の医療費無償化のための財源、小中学校へのタブレット購入やWi-Fi環境の整備、などなど、地方を良くするための財源として、とても役に立っているようです。
このようにふるさと納税は、都道府県、市町村自治体への寄付となるため、地方自治体にとっては、ふるさと納税からの税収をより良い自治体づくりのために活用できるという、大きな魅力があります。
一方、ふるさと納税を使って寄付する側にとっては、確定申告を行うことで、その寄付金額の一部が、所得税、住民税から控除されます。
少し前まで、ふるさと納税は節税になるということで、話題になりましたが、実際はそうではありません。
控除を受けることができる上限は、納税額によっても異なりますが、控除される金額は、寄付金から2,000円を引いた金額と決められています。
また、実際には寄付をすることで、地方自治体からのお礼として、寄付金額の3割以内に相当する返礼品をもらえます。
もし6万円の寄付をした場合、58,000円の税額控除を受けた上に、約18,000円相当の返礼品をもらえるというわけです。
このように、ふるさと納税を受ける側、ふるさと納税をする側にとって、たくさんの魅力があるのがふるさと納税です。
年末にかけて、まだふるさと納税していない人は、ぜひとのこの機会にやってみることをお勧めします。
まだしたことがない人のために、その手順をお伝えしましょう。
ふるさと納税をする手順
ふるさと納税を無駄なく行うポイントは、まず、自分の寄付上限額を知ることからでしょう。
年収や家族構成、そのほかの控除額などで、上限額は変わってきますので、総務省などのホームページにて、計算することをお勧めします。
例えば、年収500万円の共働き家族で、高校生の子供が1人る場合。住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除を受けたいない場合では、49,000円が上限となります。
この金額から2,000円を引いた全額が、所得税および住民税から控除されます。
この寄付上限額を計算した後、寄付したい地方自治体を探していきます。
総務省のポータルサイトや、「ふるさと納税」で検索すると出てくるサイトでは、寄付金の使い道、お礼の品、ランキングなど、たくさんの情報があるため、参考にするといいでしょう。
寄付したい自治体や、返礼品などを決めたら、寄付の手続きを行っていきます。
サイトからの手続きが一般的ですが、自治体への電話や書類での手続きも可能です。
今では、多くのショッピングサイトでも、取扱が可能になっているため、普通の買い物感覚でふるさと納税ができます。
手続きが終わると、返礼品と寄付金受領証明書を受け取ります。
返礼品が届くまでには、数週間かかる場合があります。
また、寄付金受領証明書が、郵便で送られて来ますが、翌年の確定申告で必要となるため、大切に保管しておく必要があります。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、確定申告の時期も伸びていますが、原則2月16日から3月15日の、1か月間で行われます。
ふるさと納税の注意点
このように、ふるさと納税は、とてもいいことばかりのように聞こえますが、実はいくつか注意すべき点もあります。
1つは、先ほど少しお伝えしましたが、ふるさと納税は、現金が戻ってくるという制度ではないということです。
確定申告をすると、所得税の還付が受けられることもありますが、決して節税になるわけではありません。
あくまでの、翌年の税金の控除が受けられる制度であることを、忘れないようにしましょう。
もう1つは、ふるさと納税をする際に便利な、「ワンストップ特例」についてです。
ワンストップ特例とは、ふるさと納税における確定申告が不要になる制度です。
特に、サラリーマンなどの給与所得者は、確定申告を行うことなく、ふるさと納税ができるなるため、多くの方が利用しています。
しかし、以下のような人は、ワンストップ特例を使うことができません。
それは、医療費控除や住宅ローン控除など、他の控除のために確定申告が必要な人、6つ以上の自治体に寄付した人です。
これら注意すべき点を忘れずに、ふるさと納税を使って、地方自治体への貢献、そして自分の税金の控除へ役立ててみましょう。
特に、年末にバタバタとふるさと納税する人も多いですが、このような注意点を見落とすこともありますので、余裕をもってやっていきたいものです。
まとめ
ふるさと納税の魅力でもお伝えした通り、ふるさと納税を上手に活用することで、自治体も、それから寄付をする側も、たくさんのメリットがあることがわかったと思います。
特に、自分が寄付したお金で、地方の活性化に貢献できることは、どこか投資の世界にも似ているような気がします。
自分たちが住みやすい、より楽しめる街づくりのために、このような制度を一人でも多くの人に、知ってもらい、活用してもらいたいものです。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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