アメリカでは10歳相当で、
「投資をする理由を説明する」
「複利で得られる利益の計算」
などなど、お金に関する教育を受けるといいます。
私たち日本人からすると、かなり驚くべきことですが、さらに18歳相当では、
「投資を遅らせたときの退職後の結果と、早くから投資したときの利得の比較」
なんてことも学ぶそうです。
日本と比べて、約30年くらいは先を進んでいるという、アメリカのお金の教育は、今の私たち日本人にとっては、見習うべきことが多々あるように思います。
環境や国民性などの違いはあるにしても、お金は生きていくうえでは、必ず付き合っていかないといけないもの。
大人になった今からでも遅くない、お金についての意識を高めるためにも、アメリカのお金に関する教育を、少し紹介してみようと思います。
アメリカと日本の金融知識の格差の理由
どうして、お金に関する学びをしないといけないのか。
人それぞれ異なると思いますし、お金の勉強なんて必要ない、という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、この現状を見ると、どうしても私たち日本人は、世界の基準に追いついていかないと、将来が怖いと思わざるを得ません。
金融庁が公表しているデータですが、「家計の金融資産構成」における、日本とアメリカの比較では、家計のお金の事情と、20年間の資産の推移が調べられています。
結論から言うと、アメリカでは、20年間で家計の資産が、約3倍になっているのに対して、日本はその半分にも達していません。
アメリカは景気がいいから?
世界の経済大国だから?
いろいろな言い訳を考えてしまいますが、こんなにも差がついているのは、「家計のお金をどこにおいているか」その差が大きいといわれています。
大きく違う点は、現金・預金の割合と、投資信託・株などの割合いです。
日本人の現金・預金の割合は、
52.5%に対して、
アメリカは、13.1%。
投資信託・株などの割合は、
日本は、
投資信託4.0%、株式等10.9%、
アメリカは、
投資信託11.8%、株式等36.2%。
この家計の金融資産構成が物語っているのは、単に、日本人は貯金好きで、アメリカ人が投資好きということを言っているのはありません。
この背景にある事情を理解する必要があります。
アメリカの子供が受けている金融教育
アメリカでは、幼少期から高校卒業までに、身につけておくべきお金の知識を、教育基準(ナショナルスタンダード)としてまとめていて、多くの学校がこれを採用しているといいます。
このナショナルスタンダードによると、
ネーリテラシーについては、
「支出と貯金」「クレジットと負債」
「勤労と所得」「投資」
「リスクと保険」「金融上の意思決定」
の6つの項目があります。
「投資」の領域でいうと、高校卒業までに、
「富を築き、ファイナンシャルゴールを達成するには、どうすればよいか説明できる」
ことを、1つのゴールとしているといいます。
10歳相当で学ぶこと、18歳まで学ぶことそれぞれありますが、日本人である私たちからすると、大人であっても答えることができない学習を、とても早い段階から行っているといえます。
また、家庭においても、実践的にお金に関する教育を行います。
有名なのは、「レモネード・スタンド」といわれるものです。
子供は、お小遣いで材料を購入してレモネードを作ります。
1杯当たりの値段を決めて、道端で人に販売します。
看板を作ったり、お客と値段交渉してどうすれば売れるのか、お金はどのように循環するのかを学びます。
中高生なると、自宅の芝刈り機を使って、近所でアルバイトする子もいるといいます。
親に芝刈り機のレンタル料や灯油代を払い、一般的な芝刈りサービスの値段を調べ、「安く芝刈りをしますよ」と営業をするそうです。
このように、アメリカでは小さいころから、学校でも家庭でも、よりお金を身近に感じるような教育を行い、金銭的自立を積極的に促しています。
そのような教育もあって、お金を投資商品に変えるということが、難なくできるようになっているのでしょう。
まとめ
グローバル化が進む現代ですが、お金に関しても、しっかりと正しい知識を身につけることが、今後は重要な課題になってきます。
それも、アメリカなどのように、早い時期から行うことで、将来お金に振り回されないような、マネーリテラシーも身につくことでしょう。
時間はかかると思いますが、このような知識を得ることで、投資や資産形成に対しても、先入観なく取り組んでいけることでしょう。
まだまだ日本の学校教育の中には、しっかりとした学びの場はありません。
今できることを、民間の団体の中からでも見つけて、やっておくことをお勧めします。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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