毎年11月ごろになると、年末調整の準備、確定申告の準備が始まります。
サラリーマンの方であれば、年末調整のためにいくつかの書類を提出すれば、それで終わりというケースも多いことでしょう。
近年、在宅ワークなど働き方が増える一方、副業をする方も増えてきており、収入が増えているという人もいるでしょう。
そういう方がこの時期気になってくるのは、国に治める税金のことだと思います。
特に、これまで年末調整という形で、納税を済ませていたサラリーマンは、確定申告という、自ら税金の計算をするという心配事が出てくるかもしれません。
そもそもどういう場合に、確定申告が必要なのか、ちょっとした基礎知識を紹介しましょう。
これから副業に取り組む人にとっても、きっと役に立つことでしょう。
サラリーマンで確定申告が必要な場合とは?
まず初めに、副業をされているサラリーマンの方は、これまで年末調整という形で納税してきたケースが、ほとんどだと思いますので、納税の方法について簡単におさらいします。
私たち日本人は、働いて得た所得に対しては、納税の義務があります。
ただ、私たち一人一人が、自分の所得と納税額を計算するとなると、手間や間違いもあります。
国としては、一人でも多くの人に納税してもらいたいので、会社が納税の手続きを代行する形で、納税する「源泉徴収制度」を作りました。
これによって、給与や報酬を支払う側の会社が、所得税を天引きして、代わりに納税してくれます。
ただ、天引きされている所得税は、1年間の所得に応じて確定されるものですが、「源泉徴収税額表」をもとに算出される、概算の金額になります。
その見込み額で納税していたものを、1年の最後のお給料が確定するタイミングで、正しい税額を算出していきます。
これが、毎年11月あたりから行う、年末調整になります。
ここで、副業をしている方にとって大切なのが、年末調整をできる対象者は、会社に勤めている場合のみということです。
副業といっても、支払われる報酬によっては、源泉徴収されている場合もあるかと思います。
源泉徴収されているからと言って、年末調整をしてくれるというわけではないということです。
そのため、サラリーマンの方で、本業以外の副業で得た収入がある場合、そしてその収入が「雑所得」の場合は、確定申告をする必要があります。
実は、収入の種類、いわゆる所得には、10の種類があり、その所得によっては税金の計算が異なります。
利子所得、配当所得、不動産所得、
事業所得、給与所得、退職所得、
山林所得、譲渡所得、一時所得
に該当しないものが雑所得といい、副業で得た収入はこれに該当することが多いです。
この雑所得で、年間20万円以上の副業収入が合う人は、確定申告の必要があります。
またそれ以外に、以下のようなケースでは、確定申告が必要ですので、覚えておくといいでしょう。
・2か所以上から給与をもらっている人
・給与の年間収入金額が2000万円以上の人
・災害減免法により源泉徴収の猶予を受けている人
・ふるさと納税などの寄付をした人
・株式、債券、投資信託などの売買をしたい人
・医療費が年間10万円を超えた人
・住宅ローンを組んだ人
確定しなかった場合は?
サラリーマンの方であれば、毎年同じ時期に会社からの年末調整があるため、ついうっかり納税を忘れていたということはありません。
しかし、副業の場合は、そもそも納税する必要があるとは思っていなかったり、しなくても大して問題にはならないだろうと、確定申告しない場合もあるかもしれません。
だからといって、確定申告をしないと、「無申告加算税」という罰金を科されることになってしまいます。
もともと納税するべき税額に加えて、50万までは15%、50万円を超える部分については、20%の割合を乗じて計算した金額となります。
これでは、せっかく副業で稼いだ収入も、水の泡となってしまいますので、「ちょっとくらいならバレないだろう」という気持での無申告は危険です。
確定申告の手続き方法
それでは、最後に面倒だと思われれる確定申告ですが、その方法を簡単にお伝えしましょう。
今では、スマホで確定申告することも可能になっていますが、どうしてもやり方がわからない場合は、自分が住んでいる地域には、管轄の税務署があるため、そこに問い合わせるといいでしょう。
申告書を作成するにあたって、必要な基礎資料を準備する必要があります。
税務署に提出する書類は、
・確定申告書Aまたは、確定申告書Bのどちらか
・本業分の源泉徴収票
・マイナンバーカードまたは通知カード
・身分証明書
になります。
まずは副業で得た所得を計算するために、1年間の収入とそれにかかった必要経費を計算します。
雑所得の場合、収入金額や必要経費は、入出金の時期ではなく、実現した時期で計上します。
納品した時期、その収入が入る時期が違う場合などに、注意が必要となります。
それらの金額が確定したら、確定申告書Aへの入力を行います。
スマホやネット経由で申告を行う場合は、ほとんど指示通りに入力すると、簡単に書類が作成できます。
副業の種類によっては、必要な書類が増えるケースもありますが、その際は国税庁や管轄の税務署に問い合わせると、すぐに対応してくれます。
まとめ
「源泉徴収」「確定申告」「所得税」など、一見漢字も多くて難しそうなイメージがある税金のことですが、私たちの生活には切っても切れないものの一つです。
収入があるところには、必ずと言ってもいいほどこの税金の話がついてきますので、まずは怖がらずに、チャレンジしていくと、次のステップに進めるのではないでしょうか。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
コメント