マネー本やマネー系YouTubeの中では、S&P500を指標とするインデックスファンドを、おススメする声が目立ちます。
また、税理士やFPの多くも、このインデックスファンドを進めるため、多くの人がS&P500関連の商品で、資産運用をしている現状があります。
確かに、アメリカ経済が好景気ということもあるが、果たしてそれでいいのだろうか?と、アメリカ経済にはらむ危険に、警鐘を鳴らす人もいます。
そこには、自分自身の投資スタイルや、リスクを抑えるための手法と、それぞれの理念があります。
これまでS&P500にて運用していた人も、そうでない人も、また違った視点を知ることは、今後との投資人生にきっと役に立ちます。
詳しく解説してきますので、学びのきっかけになればと思います。
S&P500とは?
資産運用の勉強をすると、このS&P500という言葉を一度は、目にしたことがあると思います。
このS&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が、ニューヨーク証券取引所や、ナスダックに上場している企業のうち、訳500銘柄の時価総額をベースに公表している、株価指数のことを言います。
この株価指数に関連する商品が多数ありますが、これから投資を始める人など、個人投資家の中ではとても人気があります。
その背景として、Youtuberや著名人など、多くのインフルエンサーが、このS&P500の推奨をしていることが挙げられます。
しかし近年、アメリカの優良企業の株価下落により、このS&P500の数値も下がっていることから、これまでのS&P500の人気に、陰りが出ている様子です。
多くの人が不安に思っている、今後のS&P500の動向について、考えていきましょう。
S&P500を勧めない理由
このS&P500のような、インデックスファンドについて、多くの人から人気がある一方、推奨しないという人も一定数います。
私のその一人ですが、それにはいくつか理由があります。
その理由の一つは、アメリカ一国に集中投資するのは、とても危険だということです。
基本的に、私たちが行う資産運用は、30年から40年以上続くものと思われます。
確かにアメリカ経済は、ここ20年ほどはとても好調で、S&P500の指標も上昇しています。
しかし、私たちがこれから、資産運用をしていく期間を考えると、今後ずっとアメリカ経済が続くかは、誰にも分りません。
アメリカ一国に、集中投資することのリスクも考える必要があります。
もう一つは、S&P500の中身の問題です。
別の記事でもお伝えしましたが、S&P500の指数を引っ張っているのは、実はGAFAMだといわれています。
GAFAMとは、
Google(グーグル)
Apple(アップル)
Facebook(フェイスブック)
Amazon(アマゾン)
Microsoft(マイクロソフト)
と、アメリカ株時価総額ランキングトップ5の、企業群を言います。
実際にS&P500の指数を、GAFAMと、その他S&P495 に分けて比較すると、驚きの結果が出ます。
実は、このGAFAMはこの10年で、訳10倍近く株価を伸ばしているのに対し、S&P495はほとんど変わらない数値となります。
指数と比べると、TOPIX(東証株価指数)とほぼ同じです。
こう考えると、注目すべきはS&P500ではないといえます。
もう一つ理由を挙げるとすると、先ほどのGAFAMとS&P495の話に似ていますが、この500社の中には、赤字の会社もあれば、戦争兵器などを作っている会社もあるということです。
要は、S&P500という大きな枠を見るのではなく、その中身も見ましょうということです。
資産運用は、お金を増やす目的以外に、自分のお金を企業に使ってもらい、社会をよくするための、商品開発、サービスの向上、に役立ててもらうという目的もあります。
自分のお金が、戦争の武器開発に使われているとなると、自分自身の投資哲学に照らし合わせて、果たしていいのかどうか、考えてみる価値はあるかと思います。
このように、S&P500を過信するのはなく、別の視点から見ることで、果たしてこの指数を過信していいのかどうか、判断する必要があると思います。
S&P500に代わるものとは?
では、S&P500に代わるものは、果たしてあるのでしょうか?
ここで一つ知ってほしいのは、インデックスという、指数に連動した運用とは、また違った運用方法があるということです。
アクティブ運用と呼ばれますが、指数を上回る運用成果を目指す、という運用方法です。
運用会社のファンドマネージャーが、どの銘柄に投資するべきかを日々調査し、選定していくものです。
先ほどのGAFAMの話のように、自分で投資したい銘柄、投資方針を選ぶという方法は、より効率的な投資方法になりえるでしょう。
もう一つは、アメリカ経済に集中投資するのではなく、もっと広い範囲、全世界にある企業を対象にしたものも、選択肢の一つにするといいでしょう。
投資の鉄則である、分散投資を考えると、アメリカオンリーという考え方から、全世界と分散投資する方が、よりリスクも軽減できるでしょう。
まとめ
S&P500を過信すると、将来的に大きなダメージを、受ける可能性もあります。
その前に、自分自身の投資方針、もしくは違った投資方法を考えると、よい学びになると思います。
多くの人が言うから、あまり深く考えずに同様のことをする、というのは、日本人の悪い習慣かもしれませんが、自分の大切なお金については、自分の投資理念に基づいて、決定する術を持ちたいものです。
ライター馬込 八寛
生命保険、損害保険業界を約15年経験した後、お客様にとって最適な金融商品を提供するため、IFA(独立系金融アドバイザー)へ転身。「資産を1円でも多く増やすためのアイデア」を一人でも多くの人へ伝えるために、日々奔走。来年から始まる高校での授業「投資教育」にて教壇に立つことを目指している。
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